《小劇場入門》④

岸田國士戯曲と小劇場

演劇界の芥川賞と呼ばれる岸田國士戯曲賞。この新人劇作家にとって大きな目標でもある賞の名前にもなっている岸田國士とは明治生まれの劇作家で、現代でも上演される数々の戯曲(演劇の台本と考えてください)を残しています。とくに二、三人の登場人物で家庭の居間が舞台という設定の会話劇は人気です。それは簡素な舞台で上演可能ということ。また、俳優にとっても会話がシンプルゆえに実力が試されることなど、小劇場にぴったりの作品なのです。例えば『紙風船』という戯曲は、大正時代の若い夫婦の会話劇ですが、若手から経験豊富な劇団問わずに演出に趣向を凝らしこの戯曲に取り組んでいます。そうした上演を間近で見比べるのも小劇場の楽しさです。