【vol.8】シズオカ×カンヌウィーク 名物キャスト「スマイルちゃん」

静岡の初夏のイベントとして定着しているシズオカカンヌウィーク。通称シズカン。そのメイン会場ともいえる七間町通りはマルシェが開催されて多くの来場者でごった返します。美味しい食べ物や飲み物を楽しむ姿は今では「おまち」の風物詩。そんな人々がつめかけてる中で、一際目立つ姿の女性がいます。なぜかといえば黄色の服や小物を大胆に使ったコーディネートで屈託のない振り撒いているからです。

そんな個性的な姿の彼女は実のところシズカンのキャスト(スタッフ)。そのいでたちから「スマイルちゃん」とか「イエローちゃん」と親しみをこめて呼ばれています。本名は柚木真里奈さん。静岡市で生まれ育った彼女は静岡大学に進学し、今は地元の旅行会社に勤めています。シズカンはあくまでボランティアとしてお手伝いしているということ。しかし、気づけば8年間欠かさず参加し、いまではマルシェのボランティアリーダーとして若手を引っ張る立場です。

彼女とシズカンの出会いは静岡大学に入学したときに遡ります。アートマネジメントを専攻した彼女は実践のために地域でのイベントにたくさん参加して、社会との接点を増やそうと意気込んていました。そして初めて参加したのがシズカン。そのときの素晴らしい情景は今でもはっきりと浮かんでくるそう。人々の幸せそうな笑顔やロマンチックな会場の雰囲気などにすっかり魅了されたといいます。地元静岡の魅力を発見する契機にもなったその驚きと感動的な体験が、活動の原動力となりました。

もともと彼女は高校生の途中まで都会の大学を目指していました。しかし、地域と関わる仕事に興味を持ち出してた頃に、静大でも目指したい分野を学べることが分かり、改めて静岡を調べてみたそうです。すると自分が無知だったことを知ります。静岡にも面白い人や事がありそうなことに気づきました。そうして地元大学を目指すことになり、望み通りに静大に進学。彼女は学内で理論を学外で実践を目指し、大人にもどんどん会いに行き、面白い人たちと出会っていきます。自分から動けば、地元の魅力をこんなに発見できるんだと手応えを得たそう。そのもっとも実りある活動がシズカンです。

彼女が黄色で装っているのには理由があります。それはまず覚えられやすいからで、地域の人たちとコミュニケーションを円滑にするための工夫です。前述の通りにそれは功を奏し皆が親しみを込めて声をかけてきます。何よりも嬉しいのは来場者や出店者が「ただいま」とか「またね」と言ってくれること。イベントはその日で終わってしまうけど、ずっと繋がっていく実感を得られるのがやり甲斐になっているそう。その時々の再会とはじめましてに心躍りながら、気がつけば8年。シズカンは本業が忙しくなってもずっと続けていきたい大切なものだといいます。今年もすぐにシズカンシーズンがやってきます。会場で目立つ黄色の姿を見つけたらきっと彼女です。ぜひ声をかけてみてください。満面の笑みでようこそと迎えてくれるでしょう。