文化の日を含む十一月初めの連休は、大道芸ワールドカップin静岡(以下大道芸WC)で盛り上がる静岡市中心市街地に多くの人が訪れました。大道芸WCの四日間開催は実に四年ぶりということ。コロナ過を経て、ようやく本来の姿に戻りつつあるのは、来場者の多さからも窺えます。外国人の姿も多く見かけました。きっと県外海外からも多くの方が来静しているのでしょう。
そんな人々でごった返す街中を歩いていると、ちょっと変わった人たちに出くわします。白塗りのお顔と真っ赤なお鼻が特徴的で、カラフルな姿をして愛嬌ある笑顔を振り撒きながらコミカルに歩いている人たちです。彼ら彼女らはクラウンと呼ばれる道化師です。一般的にピエロと認識されていることが多いと思いますが、実はクラウンとピエロは少し違います。ごく簡単に説明するとピエロは、クラウンの一形態。笑い者でもありますが、悲しみを表現するのがピエロの特徴。クラウンは道化師全般を指し、おどけ者を演じながら観客とのコミュニケーションを積極的に図っていくことが重要な役割。海外では入院している子供たちのメンタルケアに従事するホスピタル・クラウンも少なくなりません。
大道芸WC期間中に見かけるクラウンたちは、実は大道芸WCのボランティアスタッフという位置付け。「市民クラウン」と呼ばれ、普段は会社員だったり学生だったり主婦だったりという私たちと変わらない人々です。ただし、三日間の講習会「大道芸カレッジ」で基礎を学び、認定されなければなりません。しかも受講料は有料です。つまり市民クラウンになるためには熱意が必要ということです。なぜ市民クラウンになるのかと尋ねれば多くの方が、おもてなしたい、笑顔がみたい、大道芸WCを通じて静岡で良い思い出をつくってほしいと答えるでしょう。そして実際に彼ら彼女らは、来静者に向けて最高のホスピタリティを持って交流していきます。
市民クラウンとなった方は今では500名を超えるそうですが、このような市民が活躍する「まち」はきっと他にはありません。こうした取り組みは、静岡市のおもてなし文化をさらに醸成していくはずですし、主体的に「まち」に関われることを示しているという意味でも、特筆すべき活動といえるでしょう。
引用:《大道芸ワールドカップin静岡》公式ホームページより